MATSUO MEMO
   


KUNIHIKO MATSUO
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    (c)2003 MATSUO kunihiko All rights reserved.


               
    Tue, 31 May 2005

    Burning Airlines Give You So Much More
    日曜日?土曜日?・・・・土曜は何やってたんだっけ・・・・?
    人に聞いてどうする・・・。
    確か日曜は、そうだ、神楽坂へ買い物に。たまたま青空市、っていうかなんて言うのか、それぞれの店が店先に露店を出して、大変なにぎわい。商店街のおっさんの「近年珍しいくらいの人出だね」という声が聞こえる。たんまり買い込んで、買い物袋が指にめり込んでいたかった。露店で串焼きを買って、重い買い物袋ごと持ち上げて口に運んで歩いて帰宅。事務所のなくなった神楽坂は、みんなが来ることも滅多になくなったと思うと少し寂しいが、プライベートな感じがしてよろしい。

    エマニュエル・ベアールと何だっけあのおばさん・・・の、ナタリーという映画をDVDで。監督も女性。官能、官能よ、と、かみさんが言うからベアールの裸がたくさん出てきて、子供には見せられないような映画かと思ったら(子供いないけど)裸はあんまり出てこなくて、ベアールがおばさんに(ああファニー・アルダンだ)その旦那との情事の様子を克明に語る。言葉で想像させる官能。女性の監督だからそういう風になったんだろうな。どうせ映像で裸見せられても手も足も出ないから、言葉で想像してる方がよっぽど現実的だ。十分官能だった。

    日曜の話をしてたんだな・・・。何食ったかは忘れました。あ、刺身・・・、市でやすかったから・・。
    なぜ、日曜の昼間に神楽坂へ行ったかというと、土曜は一生懸命にDVDの仕事をしていたからちょっとブレイクのつもりで出かけることにしたからだった。出不精の俺は遠出をする気力がなくて、ちかばですますことにしたのだった。
    思い出そうと思えば思い出せるじゃん。もっと細部まで書こうか?思い出せても誰も楽しくないだろうし、そんな細部まで書いていたらこれを書くのにものすごく時間がかかるようになって、そのうち一日中書くようにもなれば、結局ここに書くことは「今日はこれを書いていた。以上」と書くようになるのか・・・。おもしれえ。

    聴いた音楽。beach boysのpet sounds、syd barrettのThe Madcap Laughsとpink floydのPiper at the gates of dawn、Joao GilbertoのMillennium、enoのTaking Tiger Mountain (By Strategy)。きちがいばっかりだ(笑)enoのアルバムのタイトル(タイトルだけじゃなくて中身の曲のタイトルも詩もそうだけど)は狂っててかっこいい。Taking Tiger Mountain (By Strategy)・・・・やられた・・・。たとえばその一曲目のBurning Airlines Give You So Much Moreってなんだよ。Needles In The Camel's Eyeとか。

    ああ、新作でるらしい。eno。歌ってるらしい。ということはまたああいう歌詞なんだろうか(笑)奥さんとか子供は「パパもういい加減にまじめな歌うたってください」とか言ったりしないんだろうか(笑)a yearによれば、奥さんもいかれてる。

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    Sat, 28 May 2005

    rolling stone
    朝八時半におき、パンもコーンフレークもなかったので、冷凍してあるご飯ではらへった勢いでピラフを作り、かみさんに食わせ、送り出し、インド新作のアイデアを練ろうと思ったが、書類も帳面も手に取る気がしないので、手近にあったエリックタムという人のイーノに関する本をとばし読みしていたら、おもしろくて止まらなくなり、気がつくと昼過ぎで、一時に四谷に行き、仕事をした。
    仕事中は、stonesをヘッドフォンで爆音。何度も言うが、stonesをBGMにするとは、罰当たりな・・・。

    四谷の新しい事務所は、偶然にも以前jitterだかなんだかに関する取材を受けたDVjapanの編集室の下で、そのとき(そのときだけじゃないけど)世話になった猪川さんがちらっとよっていった。
    夜は大桶様が真っ赤なベンツで御来社。

    事務所の目の前のちっこい商店で、きつねどんべえをかって食う。

    学生の頃、よくいっていた新宿のrolling stoneがなくなると聞いた。いつも酔っぱらっていたのでよく覚えてないが、さびしい。リクエストとかすんのがロックっぽくないなあ、とか思ってたけど、stonesの好きな曲をリクエストして爆音で流れたときとか、うれしかった。朝まで大声でロックの話して・・・。そのあとだな、かみさんと出会ってからはあんまりいかなくなって、クラブの方がおおくなった(笑)十三年くらい前か・・・・アンビエントハウスとかはやってたな・・・どうでもよかった。どうでもいいやつもたくさんいた。そいつらにも俺はどうでもいいやつだったんだろう。もちろんどうでもよくなくて、未だにつきあってる人もいるけど。若かったあの娘たちやあのいかした兄ちゃんたちは今何してるんだろう、と時々考える。
    あの娘やあの兄ちゃんたちも、いつか俺の顔とか思い出して、そういえば、あの間抜けなやつは今頃どうしてるんだろう?とか、どっか高層ビルのオフィスの一室で思い出したりしてるんだろうか?
    ここにいて、毎日八時半に起きてます(笑)
    週末か・・・よく二人で深夜に出かけたな・・・高円寺にいた頃。

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    Fri, 27 May 2005

    自分では汗くさくて男臭いと思わないけど、世間で汗くさくて男臭いといわれているものがすきです。そして、自己批判はしません。
    毎日、だいたい八時半に起きる。朝ご飯を作って(といってもパン焼いたり、目玉焼き作ったり、コーヒー入れたりするだけだけど)かみさんを送り出し、メールの返事を書いたり、洗濯したり、音楽に合わせて腰を振ったりしているといつの間にか午後になり、事務所へ行く時間になってしまう。

    以前は、朝起きるとジムに行き、二十分自転車こいで、三十分走って、みたいなことをやった後風呂に入って、サウナに入って、英語を勉強して、それでも時間が余って本を読んでいるとやっと午後になり・・・・一年半から二年続いたな、よくやってたものだ。時間というのは不思議だ。そんなことが起きてから午後に出勤するまでの間にできる時期と、人間、三時間じゃなにもできないよ、ははは・・・・・・みたいに感じる時期がある。今は三時間どころか、どさっと一月くらい何もない時間がなければ、腰を据えて何かをやるってことができない。暇があったらぼーっとしている。
    何か筋道だったものを作るのには、こういうきちんとした規則正しい生活を送ることが重要だ、と感じる。そして体力。今は体力も規則正しい生活ともほど遠い。
    まあ、そのうち(笑)
    ともいっていられない。

    今日聞いたもの。朝はredio head、昼間仕事しながらstones(罰が当たる・・・・)夜はbruce springsteenと sketch showとmarc leclair。born in the usaまでのbruceは文句のつけようがない。どうもみんなはbruceの存在自体に文句をつけたがるようだけど。
    うちのかみさんとか(笑)
    彼女はstonesも好きじゃない。だからあんまり一緒にいるときは聞けないんだけど・・・・。汗くさい、男臭いのがいやだという。stonesとbossのどこが汗くさいんだ?まあ、気持ちはわからんでもない。エアロスミスやらガンズアンドローゼズやらクイーンやらエルトンジョンやらと一緒にしないでいただきたい(笑)
    bruceはマッチョはげになってしまったけれど、音楽の基本はフィルスペクターあたりのアメリカンポップスだ。ディランとロイオービンソンが合体したようなもんだ。どこが汗と関係ある?まあ、確かに汗とつばを飛ばして叫んでるけど(笑)汗かいてさけんでるからか・・・。なるほど、汗くさくて男臭いな。確かにwe are the worldでbruceが出てくるところでは失笑するけど(笑)やっぱり、bruce springsteen好きは分が悪い。
    でも、大好き。
    あ、思い出した、また昔話。大学時代、明治の学祭で当時組んでいたバンドでライブをやったことがある。tomorrow never knowsとかやったな・・・。そのころrideとかdinosour jrとかmy broody valentineとか爆音ギターがはやってて、そんなアレンジで。そのうち上げの時、バンドの音は評判よかったんだけど、そこでbruceがすきだとカミングアウトしたら、酔っぱらったいかしたロックお姉さんお兄さんたちの非難をあびて、まるで「総括だ!自己批判しろ!」みたいな感じで追いつめられた覚えがある。くやしかった・・・・。

    リハーサルのためにインドの新作の音を早く作らなければいけないんだけど、いま、エレクトロニカみたいなものより圧倒的にロック聞いてるほうがおおいから、ロックになりそうだ(笑)
    ラーガとロックとマッチョはげのエレクトロニカアメリカンポップス。想像がつかない。

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    Thu, 26 May 2005

    三十六〜七年前に作られたお経
    げ、きた。と思った。クリスが残りのデザインをみんな終わらせて送ってきた。つまり、バラタナティヤムDVDの残務は、後は完全におれの手にある。やつがまだ素材を送ってこないから、まあ、遅れてるのは俺のせいだけじゃない・・・なんて責任逃れをしていたんだが、ここからは、全員のまなざしは俺に注がれているのだ。やるよ、わかったよ・・・気合い入れていこう、ほっぺたを水戸泉のようにがんがんたたいてみよう。水戸泉だっけ、がんがんやる力士は・・・?どうでもいいや。

    昨日は四谷で飲んだ。タイカレーやで飯を食って、その後、荒木町・・・はまだ素人には敷居が高かったので、杉大門通りのばかげた内装のバーで二時半頃まで。とはいっても、そんなに飲んでいない。カレー屋でビール二杯。バーでビール一杯にジャックダニエルをシングル一杯。ぎりぎり。あと一口飲んだら、トイレでのたうち回ることになっていただろう。おかしい。
    で、どんな話をしたかというと、仕事のこととか村上春樹のこととか(笑)
    飲み屋に関していえば、四谷ではまだ勝手がわからず、落ち着く場所を探している途中。ただいま飲み屋の吟味中。事務所では、あそこの店はどうだったとか、うまいがよくない、よくないがうまい、と、店の批評話が多い。子供の頃、父に連れて行ってもらっていた荒木町(だったと思う)の「松の実」というみせはなくなったんだろうか。和風ステーキがうまかった。

    きょうはstonesのbeggars banquetとlet it bleed。超名盤。大学生くらいまでは、これらのアルバムはBGMにして流すことなんてもってのほか、いちどかけたら終わりまで聞かないと罰が当たるような気がして、授業時間に間に合わなくとも、約束の時間に間に合わなくとも、Salt Of The Earth、You Can't Always Get What You Wantの最後の大盛り上がりのところで一緒に声を上げて合唱。昇天。この二枚だけは、俺にとって、ロックとか、いや、音楽でもない・・・。お経。そのお経のLPはすり切れて音が悪い。

    午前中、銀行巡り、家賃払い、諸々払い、払ってばっかり。事務所へ行き、今日は一日、WebReleaseとCSS。合間にカップヌードル。メール書き等々。

    やるべきことは一杯たまっていく。バラタナティヤム、新作のアイデア、CMpサイトのこと、CMpDVDのこと、家庭のこと、部屋片づけ、まだ段ボールが・・・。なんだ、あまり社会的じゃないな、俺。大切なことを忘れてる感。なんだっけなあ・・・。

    自分で切り開いてるドライブ感がない。

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    Tue, 24 May 2005

    a day in the life
    天気予報では、今日は寒い、という。今、全然寒くない。それは、今シャワーを浴びたからだ。おもしれえ。

    昨日早朝、父から電話があった。父の事業の経理関係のことで。元気か?と聞くので、たぶんあなたよりは・・・と思う。彼は、気持ちはだいぶ落ち着いてきたよ、と笑う。心なしか、弱く。電話が遠いのか、と思う。電話が遠い。そんなこと滅多にあるわけない。

    brian wilsonのsmile、Beatlesの青盤、RadioheadのThe Bends、Dinosaur JrのGreen Mind。
    古いレコードばっかりだ。

    歯ブラシと風呂で使うあかすりタオル?を変えようと思う。柔らかすぎていけない。
    歯ブラシは、金磨きのようでなくてはいけない。あかすりはヤスリのようでなければいけない。かみさんは柔らかいブラシで長時間磨けという。ヤスリで肌をこするとよくないというが、子供の頃からブラシはかため、あかすりはヤスリみたいなやつ、で通してきたのだ。かえれば何か精神に影響があるだろう。事実、ストレスがたまる。

    帰り道、小学生時代の同級生の両親がやっているレストランの前を通り、中をちらっとのぞいてみた。お母さんがいた。たぶん奥にお父さんもいるだろう。双子の妹たちはどうしているだろうか?それよりも、ノッポはどうしているだろうか?精肉工場はとっくにやめているはずだ。コカコーラの配達はやめただろう。最後にあってからもう四〜五年はたつ。大学二年の時、板橋から都立家政へ引っ越すのを手伝ってくれた。寒い雨の日だった。そのとき、俺はきちんと礼をしただろうか?がっかりさせてはいなかったろうか?
    帰る途中で気がついた。もしかしたらあの店を継ぐことにしたのかもしれない。厨房にいるのかもしれない。こんど、入ってみよう。ノッポとマッチョメはまだ若い(笑)これからだ。

    そのノッポとマッチョメの引っ越し(笑)のあと、バックパック背負って中国へ行った。天安門広場は6月4日の傷跡が生々しかった。キャタピラで削れた敷石をなでた。隣では紅衛兵がライフル抱えて横目でみていた。テレビでそのニュースを見たときは遠い国のできごとだった。実際に訪れると、何か感じが変わるのかと思った。たぶん、そのあと何か変わったんだろう。そのとき、何を感じたのか、どんな気持ちだったのか、今ちゃんということはできない。政治的なことは何も考えなかったのは覚えている。自分の思い通りにならないことに巻き込まれる不安を感じたのも覚えている。寒かったのも覚えている。広場の真ん中は、深くて広いプールの真ん中に浮いているような気持ちだったのも覚えている。でも、怒りや悲しみのようなものはなかった。自分の怒りでもなく、自分の悲しみでもなかったからだ。そのときは。
    その怒りやいらだちに似たようなものを、感じたのは、それから五〜六年も後だ。いや、感じていたんだろう、それまでも。つよく。でも、それが明確に形になって頭のどこかに巣を作った。それで、いまそいつが俺を運転している。

    十七〜八年前、久しぶりに帰省したとき、父の運転する車でBeatlesのwhite albumを聞いていた。ObLaDiObLaDaをきいた父は、これもビートルズだったのか、といった。母は、俺の小さい頃の運動会の話をし始めた。鮎を捕りに行った日だった。なんていうんだろう、川に大きな仕掛けを作って追い込むやつ。そのとき、運動会の話なんてしないでくれと思った。今は運動会の話を楽しそうにする母の気持ちがわかる。

    中学生の頃、ロックのレコードは、小遣いを貯めてこっそり、ではないけど、特に両親の関知しないところで買っていたのだが、笠間の火祭りに行った帰り、機嫌のよかった父に、買いたいレコードがあるんだけれど、と切り出してみた。なんだ?と聞くから、集めていたstonesとはいえなくて(当時、なぜかstonesのLPには、ちっこいコンドームみたいなのがおまけで張り付いてた。レコード会社のそういうところが嫌いだ。)、beatlesのst.peppersだと答えた。駅ビルのカワマタレコードでそれを買い、うちに帰って、火祭りで買ってもらったたぶん見習いの若者が作ったへんてこりんな焼き物を眺めながら何度も何度も聞いた。a day in the lifeは今まで聴いた音楽の中で、一番美しくて、何かをぶちこわそうとするエネルギーにあふれていた。それから、ますますstonesが好きになった。a day in the lifeを作れなかったmick jaggerが大好きだった。

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    Sun, 22 May 2005

    ひとの話
    もう二年近く、こうやってここにとりとめのないことを書いている。
    つまらないことばかりだ。
    インドにいたときは、何をみても珍しいものばかりだったので、そのとき思ったことを、記録しておきたいと思った。なれない土地で、なれない言葉で一日を過ごすものだから、その日の終わりに、誰かに話しかけるように、日本語でものを考えたかった。そのことでバランスをとっていた。土の中に埋められてそのまま即神仏になろうとする坊主が、たまに鈴の音をさせて外のものたちに生死を知らせるように、日本にいる家族や友人に、「生きてるぞ!」と知らせるためでもあった。
    東京にいても変わりない。だれかに、"きちんと"話を聞いてくれる誰かに、話しかけたいんだろう。だから、一方的に話のできる場所を作ってあるのだ。はじめは、enoのa yearを読んで、ああいう風に書けばいいのか、と思った。でもああいうようにはかけなかった。人物が違う。

    最近思うこと。かみさんとうちのねこ以外、おれの話を聞いていないような気がする。おれの話は俺の口から放たれると、どこへもつながっていかないのだ。うんともすんとも返事がなく、違う話に流れていく。最近は、そういうことが多い、という感じではなく、必ず。それで最近、よく不安になって「おれの話を聞いてますか?」とぶしつけな質問をしてしまう。早く話し終わってほしそうなので、試しにいちど途中で尻切れとんぼにしてみた。誰も気がつかない。
    おれの話は意味として伝わっていないのだろうか?何か違う国の言葉を話しているんだろうか?みんな優しいから、気の狂った俺に、すこしでも話す機会を与えてくれているんだろうか?実際のところ、言葉は通じているが、つまらんのだろう、おれの話には何もないのだ、得るべきものが。すまないとおもう、ほんとうに、すまない。話を聞いてくれてきた人には本当に感謝している。
    ひと月ばかり、酒を飲んだ夜、はかないことがない。酒の量は少ない。ビールジョッキ三杯程度で、確実に吐く。今まででは考えられないことだった。年を取ったのだな。でも、それだけなんだろうか・・・。
    冷凍するめイカを買ってきたので、ほかにできる料理が思い当たらず、一番簡単だと思って塩辛を作った。後二〜三日すれば、食べごろになるだろう。こんなことを書くのも、ほかに思い当たる楽しみがないからだ(笑)
    これからは、黙って人の話を聞くことにしよう。ちなみに、塩辛は、桃屋の激辛のやつが一番好きだ。

    これは、以前書いたことがあるかもしれないが、中学時代のクラスメートに、とてもきれいな女の子がいた。明るくて、活発で、何よりも、ものすごくきれいで大きな目をしていた。でもその子は勉強ができなかった。隣の席だった彼女は、かえってきたテストの答案用紙の点数の部分だけを折って俺に見えないようにしていた。腹が立った。彼女が点数を隠すことにではなくて、彼女に点数を隠させるものに腹が立った。
    もしかしたら、今の、このどんよりとしたくもりぞらが、正体なのかもしれない。それだったら、それでいい。そんなものには負けない。

    何の話をしてるんだ、俺は(笑)

    Tigerは、いま、快調に動いている。directorのテキストの表示の不具合もみられない。mailも復旧した。pantherよりも全然快適だ。我慢していた細かい不具合がなくなっている。
    クリスから、新しいページのデザインが送られてきたので、その部分をやっつけてしまわなければいけない。大勢の人が待っているのだ。関係者も、バラタナティヤムを学ぶ、たくさんのダンサーたちも。

    オゾンのスイミング・プールをみた。radioheadをきいた。以上。

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    Fri, 20 May 2005

    midnight rambler
    ここ二〜三日、深夜、四谷をチャリンコで徘徊している。別に怪しいものではありません。同窓会で何度かしんみち通りなんかには来ていたが、住んでいたアパートの近所や通学路、自分たちのシマだと思っていたあたり、を訪れるのは、二十年ぶりである。
    まあ、よくある感想だけれど、こんなにこの道細かったっけ?とか、思いの外変わったところがない、とか、あ、この店なくなっちゃったのか・・・とか。
    二十年の時間の中で、すっかり忘れてしまっていたと思っていたことが、土地の記憶と一緒になって、よみがえってきた。ものすごく些末なこと(笑)脳の奥でずっと眠ってたんだろう。どんどんつながっていく。ここであんなことがあって、で、この角を曲がると、ああ、そうだ、あの日ここをあれを片手に歩いていてあんなことを考えてた・・・なんてこと。
    よく覚えてるもんだ。おもな道はもちろん、建物の並びまでちゃんと覚えている。新しいビルのたつ前に建っていたボロ屋のディテールやその周辺の匂いもよみがえってくる。
    今、誰も俺がすごく楽しいノスタルジーエンターテインメント(笑) にはまっていることはわからないだろう。誰にでもある感覚だけれど、それを話しても、どんなに俺が不思議な気分を味わっているか、説明できないのだ。
    もうすぐ、「新しい四谷」にも慣れてしまうだろう。ノスタルジーも何も感じられなくなるだろう。こんなにわくわくすることもなくなるんだろう。そう思うと寂しい。初恋の人と再会して、親しくなってきがつくと、もうその人は特別な人ではなくなっている、みたいな(笑)もちろん、記憶の中のその人は、いつまでも特別なんだけど。
    うん、そうだな、初恋の人に再会して昔伝えられなかったことを時間のたつのも忘れて話し込んでいるようなものなのかもしれない。
    それと同じように、深入りは禁物だ(笑)
    当時、「近道」と称して、どこへ行くのも塀を乗り越え、屋根を乗り越えて、直線距離で移動していたものだが、道路だけじゃなくて そんなところまで探索し始めると、えらいことになる。それこそ、気がついたら後に引けないでいつのまにか変質者ということになってしまうな(笑)
    チャリンコで、がーっと流して、子供のころかいでいた匂いをかいで、かみさんの待つうちに戻って、彼女と出会う前の人生の半分を封印して、彼女と過ごしている人生の半分の時間を続けるのだ。

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    Thu, 19 May 2005

    Tiger
    我慢をする、ということが出来ないたちで、たまに我慢をしたりすると、我慢するっていうのはこういうことなんだと、あらためて思ったりする。以前、胃カメラを呑んだとき、もうやめてくださいと何度も訴えたくなる衝動を抑えながら、「こんなに我慢するのは何年ぶりだろう、これを我慢しなければ人としてありえないのだ・・・我慢しなければもう俺も終わり・・・」と涙を流して耐えたことがある。
    それとはちょっと違う、ああ、ずいぶん違うんだけど、こんどは我慢がならず、OSX10.4Tigerを後先考えずインストール。一応、自分の中でのいいわけとしては、今作ってる物がTigerで動かなければどうしようもないんだから、Tigerで作るのはもっともだよね、ということ、で、結果とんでもないことになった。
    まず、アップグレードインストールした。ウィンドウをドックにしまったが最後、かちかちクリックしてもにゅるっと出てくる物が全然出てこない。アプリケーションを選択して引っ張り出すと、クリック不能。むかつくなあ、他に変な不具合あるんじゃないのか・・・・なんだこりゃ、と思ってよくみると、俺の一番使うアプリケーション(笑)であるスティッキーズに貼り付けていたデータが消えてる、ばこばこ大量に開いていたメモが、二つだけ、しかもかみさんの実家の電話番号のメモと引っ越したときに忘れないように書いて今はすっかりそらんじている今の住所と電話番号(笑)。どっかにデータは残ってるはずだ、と思いきや、消滅してました。非常にショック。こんなわかりやすいところがやられてるんなら、うかがい知れない奥の方は、さぞやぼろぼろだろう・・・・他のアプリケーションを立ち上げてチェックするのがこわい・・・・。と思っていたら、mail.appがおかしい、けしたはずのものが残ってたり、新着が表示されなかったりするので、アップグレードインストールがよくないんだ、新たにシステムをインストールすることにしよう、と思い、した。
    mail.appが完全に死んだ。メールを全く表示しない。mail.appを初期化したりメールボックスのインポートをしてもだめ。変なプラグインも入れてなかったのに・・・・一応、サーバにメールを取りには行く。しかし表示しない。メールゼロ件。パーミッションの設定かと思ってディスクユーティリティーで修復。かんけーない。だめ。他にもいろいろ、情報集めてやってみた。しかし、こんなにずだぼろにこわれている人も珍しい模様。
    mail.app気に入ってたのに・・・・。
    取りあえず、ライブラリの中からメールのデータを直接開いて、昼間来た新着分をチェックして、今日の所はサンダーバードに乗り換えて、やり過ごすが、根本的な解決ではないので、気になって仕方ない。いらいらする。
    やるしかないな、初期化。データバックアップして、初期化して、OSインストールし直して(もちろんまたTigerいれるな、こりないね、あほだから)、アプリケーション入れ直して、データ戻して、チェックしたりして、一日かかるな・・・・。一日かかっていれなおせば、いままでのメールを表示してくれるんだろうか・・・・。
    他にいろいろ書くこともあったんだけど、Tigerのおかげで、っていうか、仕事に支障が出るリスクを冒して辛抱ならず、新しい物大好きパワーでTigerに飛びついた俺が悪いんだけど、そのほかに書いてもよかったいろいろなことが、ものすごくどうでもよくなった。
    あ、でも、起動ははやくなったし、サファリもはやくなったし、局所的な(しかし超強力な)障害以外は、Tigerはいい感じです。

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    Sat, 14 May 2005

    0513
    本当は天気のはなしなんか書くつもりはないんだけど、別に何か書きたいことがあって今これを書こうと思って開いたわけではないので、他に書くこともないし取りあえず書くけど、寒い。ああ、これは天気のはなしでも何でもなくて、「"おれが"さむい」というはなしだ。相変わらず、俺のことしか考えられない。

    昨日は、四谷を十時半くらいに出ることになってしまったので、六本木スーパーデラックスに到着したのが十一時過ぎ。せっかく楽しみにしていたsal vanillaのvanilla sportsという新しいイベントに間に合わず、すべてのプログラム終了。みてもないのに、いつものようにちょっとビールを飲んでいい気分になると友人たちがきらきらと輝いて見えて(笑)幸せになり、アホなかっこでアホのように体をくねらせながらアホなことをまくし立てる。何度もいうようだが、つまり、それは全くアホにしか見えないであろうということだ。アホなことをアホがまくし立てていれば、せっかくきらきらと輝く友人たちに、こいつは完全なアホだと思われて、友人たちが離れていくだろう。それを思うと、つらい。いたたまれない。仕事帰りのかみさんも会場をばらしている途中に到着。やばい、夫婦そろって、とんまだ。アホでとんまな夫婦がイベントの中味もみないでとんちんかんなことをまくし立てて帰って行った、と、その場にいた人たちには思われたに違いない。
    タクシーで帰宅後、腹が減ったので冷凍してあった飯でチャーハンを作り、アホな夫婦は深夜てんこ盛りのチャーハンを食っている。ネコがよってくる。「無能の人」じゃないけど、まるでこの世界には二人と一匹だけしかいないようだ。

    実際のところ、さくひんづくりのテーマなんていうのは、どうでもいいことだ。俺にとって大切なことのひとつは、どういう論理に基づいて、どういうプロセスで作ると、どういう結果が生まれるのか、ということだから。でもテーマを設定することは出発点としてはいい。そこから独立したルールを作っていく。スタートポイントは、ベタでも陳腐でもいい。問題は、そこから生まれるルールと論理の突き詰め方だ。

    朝起きると、HMVからCDがとどく。思わせぶりなコードと、深いリバーブ、「いいかんじ」のジャケット。そういう物に没入して、いろんな物をイメージし、悲しくなったり、うれしくなったり、するような優しいメンタリティーも想像力もいまは持ち合わせていない。「イメージの世界へいざないます」みたいな音楽は今聴きたくない。俺に何もイメージさせないでほしい。何の奥行きもなく、何のイメージも喚起しない(させようとしていない)音楽が聴きたい。ケージとかバッハとか、ただ論理をドライブさせただけの、純粋な音だったら、今は聴けるかもしれない。それか、打楽器音楽。しかも、超微音で。なんか、最近のエレクトロニカ?っていうのは、叙景とか叙情とか感傷とかそっちの方にゆれすぎている気がする。いろいろ新しいことしているようで結局ロマンチックな調声音楽かよ、っていうかんじなのかな。きれいなコードとかぐっと来る展開なんていらないのに。なんだか、人にイメージすることを強要されているみたいで、ひいちゃうんだな。今の気分には。そういうのもたまにはいいんだけどね。

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    Thu, 12 May 2005

    腐ったCD
    書くことがないので、食った物を書きます。・・・・思い出せません。ああ・・・唐揚げ。

    久しぶりに秋葉原に行く。変だよ、あそこ。駅前のでっかいビルも変だし、歩いてる若者も変だし、おっちゃんも変だし、店頭のお姉ちゃんも変だ。変・・・・。変なの・・・。森川嘉一郎というひとの趣都の誕生っていう本を以前によんだけど、この人はあれ書いてるとき、秋葉原のことをずーっと考えてたんだろうな。明晰で読みやすい本だった。けどねえ、分析すること自体は、論理を考えるのはいいんだろうけど、ずーっと秋葉原のことをかんがえるの、いやだなあ・・・。落ち込む。もし、俺が何か論文を書くことになっても、秋葉原のことをずーっと考えなくてもいい物を書きたい(笑)

    昔よく聞いていて、"腐ってしまった"から全然聞かなくなってしまったaphextwinのambientworks2を、ためしにitunesに入れて読み込ませてみたら、三曲のぞいて救出できた。CDプレーヤーでは全く再生不能だったのに。その三曲も、お尻の三曲なので、いつもこれ聞いてたときは途中で寝てしまって、最後まで聞いた記憶がないから、どうせ知らない曲だろう(笑)
    しかし、CD、腐るなよなあ・・・。こういうのはどうすればいいのだろう。いっぱいあるCDがみんな腐っていったら、残念だなあ・・・。
    もうCDなんて買いたくなくなるなあ・・・。といってるそばから、HMVネット通販で安売りセールしてたので二枚ほど購入。そんなことにお金使う余裕ないんだけどなあ・・・ついいらいらして、何かインスタントに気分を変えられないかと思って・・・。
    しかし、あの時期ambientworks2のUK盤CDを買った人たちは、みんな腐って聴けなくなってるんだろうか?何万人も。十年以上前のCDか・・・・。それとも、やはり、俺の手は金属をとかす仕様(笑)になっているんだろうか?

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    Wed, 11 May 2005

    ネットラジオをきいてました
    これは俺だけにおこる現象なのか・・・directorのスクリプトウィンドウから文字が消えたり、変なところに変なスペースが入ったり、がたがたに崩れたりする。今までは表示だけだったのが、スクリプトががたがたに壊れてエラーを吐きまくる。ただ一行コピーしてペーストして・・・って、それだけやっただけでもうだめだ、どこかが崩れてエラーを吐いてる。
    というわけで、いちにちそれと格闘。やっと復旧、急いでバックアップ。あせった・・・・・。苦労したところのバックアップがなかったもんだから・・・・。
    でも、一応、これで機能的には全部出来たんじゃない?キューポイントも動くし。リンクも全部オーケー。
    しかし、イントロとか、ヘルプ画面とか、クレジット画面とか、クリスが作って送ってくれるはずのところが届いてないので、どうにもわからん。ただ合体すりゃいいってもんじゃないし、そこでいろいろなことがおこりそうだな・・・・。それからディスクに焼いて、デバッグして・・・・ウィンドウズとマック問題っているのもあるんだな・・・。気が遠くなる。大幅に遅れているのだ。気が遠くなっていてはいけない。
    というわけで、いやーな焦りと落ち着きのなさを感じながら一日自宅作業。自宅で作業していると、このまま誰にも気がつかれず、社会から離脱していってしまうんではないかという不安。さらに誰からも電話もなく(ズボンのポケットに入れっぱなしで押し入れの奥につっこんであるのだからかかってきても気がつきようがない、ことに深夜気がついた)、またさらに音のバランスが変なことになってる小さなソニーのステレオ(四十年代の物らしい。拾った。)でitunesの、サンラとかアーチーシェップとかオーネットコールマンみたいなフリージャズが一日中かかってる異様なラジオをつけているもんだから、ますます激落ち。そんなに人を混乱させるような演奏しないでくれ。そんならそんな変な音楽やらインド舞踊のDVDなんてほっといて、何かもっと明るい気分になるもんでも聞いたりみたりすりゃいいじゃないか、と思うんだけど、だって、好きなんだもん。
    気分を盛り上げる、というか、気分で聴く音楽っていうのもあるし、気分がくそ悪くなるけれどもその音が聞きたくなる音楽っていうのもあって、気分がくそみそになろうがその音の組み合わせとかノリが、たまらなく、気分とは別のところで快感だったりすることもある。へんなの。
    で、やけくそ気味に混乱したわけです。
    きのうはウォンカーウェイの2046をみた。ちょっとつぎはぎで強引な感じに持って行く手口にドライブがかかってたけど、役者さんたちがきれいでよかった。でもなんかいい感じ、これいい絵だねえ、とかいいながら脈絡なくとりためた断片を強引に物語に持って行った感じ。タランティーノもぐっと来るエピソードのつぎはぎを強引にしかし非常にうまく物語にしていくやり方っぽいんだけど、ウォンカーウェイはもっと断片化している感じ。2046ではそれがいい感じのワンショットまで細かくなっちゃってる。ぐっと来るエピソードの統合じゃなくて、ぐっと来る一瞬の間をばらまいて、ビーズ玉を針と糸でつないで行くみたいに・・・・とか。膨大な未使用ロールがありそうな・・・・。・・・いつも、こういうへんなのをみると、どうやって作るのか、とかどういう発想で作ったのか、どういう手順で作られたのかを考えてしまって、ちゃんとみることが出来ない。
    なにくったっけ?豚肉。シジミ汁。コールスローもどき。かみさんが伽羅蕗を作った。

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    Sat, 07 May 2005

    0506雨
    今日はカレンダーでは休みではない。休みではない、ということで、休みでは出来ないことをした。休みではないが、四谷へは行けなかった。想像が出来なかったのだ。そこへ行って、何をして、それからどうやって帰ってくるのかが。だから、自分にとって、世界とつながるためのこころの準備として、銀行へ行ったり、役所に行ったり。非常に、具体的に。
    以前すんでいたところの役所に行って転出届を取りに行き、先日越した以前の事務所の前にある役所に転入届を出す。休みではないということも理由ではあるし、もう一つの理由は、時々、あえて気分ではないことをしてみたくなることがあり、その何というか、後ろ向きの違和感のような物を感じてみたくなったから、というのもある。うまくいえない。いう気力もない。
    池尻大橋で気持ち悪い疎外感と親密さの間の宙ぶらりんを感じ、牛込神楽坂で気持ち悪い疎外感と親密さの間の宙ぶらりんプラス嫌悪感とちょっとの絶望感と焦燥感。うまくいえない、うまくいう気力もない。本当は、そういう感覚ではない。感、とかがつく言葉でくくれるもんではない。どうでもいいことだ。
    疲れた。
    バラタナティヤムDVDのキューポイントがうまくいかないので、ムービーにキューポイントを持たせるのをやめて、すべてのリストを作ってしまうことにした。うまくいくことはわかったが、リストを作るのがめんどくさい。ムービーにキューポイントを書き込むのもめんどくさいので、めんどくささではどっこいどっこいだろう。リストにすれば管理も楽だ。しかし、膨大なリストになるので、全部つっこんで動くかどうか、わからん。なるようにしかならないだろう。
    朝食はコーンフレーク、昼食はロースカツ定食、夕食は赤魚の西京漬けとほうれん草のみそ汁、大根とタマネギのサラダ。
    食った物を書いてどうなるんだろう。食った物じゃなくても、こんな事を、書いてどうなるんだろう。
    タモリクラブで、どうやって弾くの?ジョンケージという企画。ケージの笑っている大きな写真とタモリとホンコンがならんでる。本人がここにいたら、お笑い芸人と同じくらいハッピーに振る舞っていただろうな、とか思う。
    そういえば、サイトの記事をずっと更新していない。英語サイトもいじっていない。情報の整理をしなければ。やる気ないのか?と思われてしまう。
    明日は、実家へ帰るつもりだ。
    もうちょっと丁寧に物を考えよう。もっと伝える努力をしよう。無理は承知、それでも伝えようとしてみる。気分のようなことまで、言葉で伝える努力をする、ことにする。
    おやすみなさい。

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    Thu, 05 May 2005

    決定ルールをオーバードライブさせる
    ゴールデンウィークだというのに、家人は休みなく仕事に出かけるので、ここでやっつけておかねば、あと一月はかかると思われるバラタナティヤムDVD制作の続きを続ける。仕事量と手数をかんがえれば、一人でやるのは非常に非効率的なのだが、人を雇う金もないので、黙々と人間バッチ処理からプログラミングからデザインまで一人でこなす。四月後半にはインドにマスターディスクを納品する予定、約束だったのだが、実家で起こった件の事件の影響でこんなに遅れることになってしまった。
    予想通り、この段になると、思いも寄らなかったトラブルが次から次に発生してくる。まず大きな所では、例えば四分間の映像の中にキューポイントを三十以上つけなければいけないのだが、directorで読み取らせようとすると、なぜか六つくらいしか認識しない。正直言って、原因がわからない。仕様なのか、スクリプトに原因があるのか・・・。トライアンドエラーを繰り返して、何とか原因を探るしかない。しかし、いちいちキューポイントつけなおしたり、書き出したり、保存しなおしたり・・・・時間がいくらあっても足りない。その間に、プログラムにも問題のある箇所が見つかってエラーをはき出したりするので、そいつも直そうとすると、別の問題がどこかで発生し・・・。たいしたことはやってないんだけど、誰かと分担すれば、何とかなりそうな物が何ともならず、何とも膨大な時間がかかる。
    まあ、とにかく、やらなければいけないんだから、やるのだ。今やっておかないと、休みが明けたら、東京で生活するための東京の運動をしなければいけないのだから。
    と思っていると、ジャイからひどく素っ気ないメールがとどく。どうも、キーボードだか何かが壊れていて、打てない文字があるために自由にタイプできないのでシンプルに用件を述べる、と書いてある。十一月、ICAで新作を発表しよう、という。正式にオファーがあったらしく、俺がYESといえば、GO!という意味だと・・・。ということで、Between the linesという作品を早急に詰めなければいけない。これは、歴史と瞬間についての作品だ。去年、バンガロールでの最終日と、今年、バンガロールの最終日にジャイと話し込んだことが元になっている。記憶をなくしてしまったお父さんの話。均質なパースペクティブのなかの個体性のはなし。突き詰めれば、石と有機物どちらを選ぶか、という瞬間の判断になること。しかし、そこからは幸か不幸か、遠く離れて、世界はあまりにも複雑になっていること。歴史、生、今、未来。で、生きていることは祭りだ、と。それを、かたらず、観客の脳細胞に針を刺すような仕方で、表現すること。科学的に、論理の構築だけで。実験室だ。しかし、彼らが実験室にいるだけで、美しい。完成されたバラタナティヤムのリズムと、カラリパヤットのアクロバティックな動きのグルーブをブーストして、呪術的に観客をトランスさせること。いくつもの歴史、シークエンスを同じ空間、同じ時間にぶち込むこと。意味性の積み重ねではなく、論理のオーバードライブとして実現させること。そしてhistorie(s) and moment(s)という概念が、サブリミナル映像のように、目の裏に明滅するような体験。なんて、欲張りすぎてありえないけれど、欲張りすぎるといけないけれど、こういうのは楽しい。日本での発表の可能性もリサーチしなければ・・・。
    さあ、はやくDVDを終わらせてしまおう。そして、アイデアをまとめなければいけない。ジャイとアヌーシャは向こうですでに考え始めているだろう。ジャイのことだから、いつものように頭の中でイメージを固めすぎてしまっているかもしれない。そういうイメージの仕方をする振付家だ。そうだな、何か、アクションを起こしておいた方がいいな、何か言っておかなければ。濱中さんは大丈夫だろうか?時間はあるんだろうか?

    引っ越しのどさくさで、濱中さんの書棚から黙って借りてきてしまった青木淳の「原っぱと遊園地」がおもしろい。非常に漠然としたイメージのはなしで終始しているんだけれど、「こんな感じの考え方だよね・・・」みたいな所と、じゃあ、「実際どうすんのさ・・・」という実践のあいだで、がんがんドライブして考えている。手を動かしながら考えている。俺も手を動かすことにした。事にした、っていうか、そういうことにしてたんだけど、動かしてなかった。
    非常にラディカル。根拠のない決定ルールをオーバードライブさせてできた建築物は人の動きをあらかじめ規定せず、不定形の人間の活動を受け入れる。
    さて、今度の作品ではどういう事をしなければいけないのか。実際に手を動かして考えるのだ。しかし、手を動かしていてきがつくことは、実はもうあらかじめ考えていたことなのかもしれない。ナイーブかもしれないけど。
    そうだ、今日はこどもの日だ。柏餅を食べよう。

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    Tue, 03 May 2005

    バイバイ、お岩さん、こんにちは、お岩ちゃん
    またもやひどい一日。

    かれらは知らないところで何か俺に関することを決定したらしい。世界基準に照らし合わせた結果、俺を正式に廃人だと認定したんだろう。つまらんはなしだ。
    それとも俺は数も数えられなくなってしまったんだろうか?俺の話すことは、意味が通じないほどに文法が壊れているのか?

    十時半に起き、十一時十分くらいに事務所の引っ越し先である四谷左門町へ到着。作業。飯、たばこ、作業、帰宅。鶏肉のサテ、しじみ汁、水菜とアボガドとトマトのサラダ。

    四谷は俺にとって特別なところだ。小学生時代を四谷で育った・・・・。・・・・つまらないはなしだ。誰だって特別な場所はあるし、他人にそこが自分にとっていかに特別かということを一生懸命に伝えようとしても、みじんも伝わらないのだ。だからもう四谷について話すのはやめる。
    とにもかくにも、もうそこは俺のいた四谷ではないし、俺ももう子供ではない。そこにはもう昔一緒に御輿を担いだ子供たちもいないし、ラジオ体操でおやつをくれたじじばばもいないし、白黒じじいもいないし、ネコばんばもいないし、チャリティー坊やもいないし、鼻くそ屋もないし、俺もいない。しかし、四谷は四谷だ。誰かが住み、誰かが離れ、誰かが新しく住み着き・・・・。
    四谷にはもう俺の居場所はないのだ。それでも、四谷とは関係のないところで、生活は続くし、また新しいことを始め、慣れなければいけない。
    過去を振り返れば、それでよかったような気がするし、よくなかったような気もする。いずれにしろ、これが今だ。それ以外にはなかったのだ。
    明日は、真剣に、片づけなければいけない仕事をかたづけてしまおう。そして、かみさんと一緒に料理を作ろう。食べて笑おう。

    今日、子供のころ、あれほどこわかったお岩さんについての本当の話を知った。お岩さんは、あんなに不幸だったのではなかった。とても働き者で、美しく、イエモンさんとも仲むつまじく暮らしたそうだ。お岩さんが有名になったのは、どうも器量よしの働き者で信心深いキャラクターが人気を呼んでのことらしい。その二百年後にそのお岩人気を利用して鶴屋南北が怪談をでっち上げて、いつのまにやら恨めしやのお岩さんの方が有名になってしまったということだ。しらんかった。そうか、それはよかった。なんだか、ものすごーくうれしくなった。肩の荷が下りた。よかったね、お岩さん。しあわせだったんだね。なんか、衝撃的だ。一つの時代が終わったような衝撃だ。バイバイ、四谷、お岩さん。こんにちは、お岩ちゃん。でももう、四谷には俺のいる場所はなかったよ。

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    Sun, 01 May 2005

    なにかが欠如していることはわかるがそれが欠如しているが故にその欠如しているものがわからない、という状態
    今日で四月も終わりかあ、今年も一年の三分の一が過ぎたんだなあ、はやいもんだ・・・・とかなんとかいう書き出しは絶対にしない。今機嫌が悪いので、そういう、今日で四月も終わりかあ、今年も一年の三分の一が過ぎたんだなあ、はやいもんだ的なことを話すやつが目の前にいたら、いろんな意地悪なことをいって困らせるだろう、もしくは気が狂った振りしてぼぼぼぼとかいいながら手近のグリップがいい感じの棒をさがしてぶんぶん振り回したりするだろう。
    今日は実家へ帰る予定だったが、世話になった友人たちのパフォーマンス公演があるというのでキャンセルし、横浜まで出かける。
    なんといえばいいのだろうか・・・非常に残念だった。みている間、終演後、彼らになんていっていいのか、ずっと考えていた。結局何も見つからなかったので、手を振ってバイバイをしただけで帰ってきた。よくなった気配はないし、何のひらめきもなかった。これは、今日明日で何とかなる問題ではない、と思った。
    俺の周りには、すばらしい物を作るアーティストたちが一杯いるが、それにもまして、つまらない物を作るアーティストも一杯いる。いい物を作るアーティストだって、いい物以上につまらない物を作るだろう。では問題は量なのか?といわれればそれもあると思う。多作であることは、たぶん多作であるということだけで、才能だから。しかし、もちろん、俺のいいたい彼らの昨日今日で何とかなるはずのない問題というのは、このことではなくて・・・たぶん、一番の問題は、彼らが信じているもの、そのものなんだと思う。だから問題なのだ。技術でもない、経験でもない、ロジックでもない、戦略でもない、もっと本質的に彼らが持っていて固く信じて止まない何か。芸術家としての才能のあるないをいっているのではない。そんなことはいいたくない。なんだろう・・・若さ、というのは、どうしようもなく、痛々しいもんだ、残酷。がんばれ青年!それは、どうしようもない、何かの欠如だ。その欠如に本人は気がついているのかもしれない、しかし、何が欠如しているのかは本人にわかりようもない、だから、悲劇だ。彼らの問題は、若さ、ではないけれど、例えば、そういったような悲劇だ。もう彼らは、若くない。彼らはその、何かの欠如、という状態に、気がつきいらだっているのだろう。しかし、何が欠如しているか、知りようもない。
    だらだらと書いたけれど、そういう物のような気がしたので、何も言えなくなってしまったのだ。一緒にみた友人は一言、古い、といった。そうかもしれない。確かにすべての要素は、どうしようもなく古い。先端技術を使っていようが、古いものは古い。しかし、古いことは問題ではない。
    じつはこう書いてきて、思い当たる節はあるのだ。なぜ、その欠如を知りようもないかということに。過去に一緒に仕事をしたとき、そのときは言葉にならずに、気がついていて、言葉にしなかった。今も言葉にならない。俺にはどうにもならない。そして、俺も少なからず、同じような問題を抱えている。

    帰ってきて、カボチャのリゾットをつくり、焼酎を飲み、アイスクリームを食べ、テレビを見ていたら、もう朝だ。やばい。規則正しく生きよう。 もっと自由に、適当に、正直に、寛容に、規則正しい生活がしたいです。

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