インド日記01
インド日記
2004_01_09
昨夜、深夜十二時頃バンガロール到着。
ひとの流れに乗って、誰か迎えにきているんではないかという淡い期待を胸に、とりあえず外に出る。ものすごいタクシー攻撃。おまけに勝手に荷物をつかんでタクシータクシーとさけぶ。辺りを見回してもどうも俺を迎えにきているような人間はいないので、あわてて空港内に退散。やばかった。両替もしていなかったのでとっととすませ、ジャイに電話。「あー、きたの?げんき?」みたいな感じで、四十分待てという。右も左もわからないまま地方の寂れた駅みたいなロビーで待つこと三十分。ジャイの顔を見た瞬間、ものすごい安心感。
今夜はとりあえず、一晩の宿を取っておいたから、そこで安めという。ジャイは荷物をつかむとものすごい勢いで待たせていたタクシーへ。タクシーの運ちゃんが荷物を持とうといっても「さわるな!」。すごい人あしらい。そういうところにきたんだなー、と実感。
ホテルに到着すると、車で一分待てという。ジャイは中で交渉しているがなかなか出てこない。ものすごい人だかりができている。気がついたら、車をじっとのぞき込む男出現。タオルで頭を拭いている。何がなんだかわからない。怖くなってきた。ジャイに呼ばれて荷物を持ってフロントへ。人だかり・・・・。深夜一時すぎているのに。しかも、何か用事があるとも思えない。フロントにもたれて、じっと人の顔を眺めている。ジャイは荷物を完全にプロテクトしながら、一生懸命に対応してくれている。そこへ、どこからともなく、怒りまくった男出現!どうも「このホテルはうるさくて眠れん!」と叫んでいるらしい・・・・・。フロントに何語かわからない言葉でさんざんまくし立てた後、What is your name?!だけ英語で叫ぶ。わけわからん。その間も、人だかりはただじっと誰かの顔を眺めている。おとろし。
やっと部屋へ。ジャイにありがとうをいって、明日の約束をし、分かれる。
へやはひろい。けど、なにもない。この広い部屋に電源コンセントは二つ。一つはテレビに。もちろん、ネットワークなんてあるわけもなく、電話線はもうすぐ引きちぎれそうになっている。お湯なんて一度もでたことないだろう。蛇口をひねってしばらく待っても、でるのは茶色い水ばかり。ミネラルウォーターも買ってこなかったので、歯も磨けない・・・・。セキュリティーなんて、言葉の意味も違うだろう。もう誰か迎えにくるまで、この部屋から動きたくない。
トイレには、もちろん紙がない。その代わり、例のバケツ。
疲れているのになかなか寝付けなかった。朝、ものすごいクラクションの音と、人の叫び声の中で目が覚めてみると、ここがやっぱりインドであることに気づかされて思わず、助けてくれー、とつぶやいて、でもそんなネガティブじゃいけない楽しまなければ、と思いなおし、朝食とミネラルウォーターを求めて部屋を出ると、すべてがインド丸出しの、インド、そのまんまの世界が広がっていたよ。初めてのブレックファストは、激辛カレー・・・・・。ところで、ここはバンガロールのどの辺なんだ・・・・。
2004_01_10
ホテル内の食堂で朝飯を食べてから部屋に戻って、もう一度爆睡。とにかく、外がうるさい。窓からのぞけば、そこはインド丸出し。二時に迎えにくると行っているので、それまでは部屋でおとなしくしているつもりだったが、眠れないので、荷物の整理。
一時頃、変な親爺が迎えにくる。分けもわからず、どこに行くかも聞いていず、とにかくタクシーに乗れという。ジャイは二時っていってたし・・・・・怪しいので、一度追い返したら、三十分ぐらいしたら、ジャイアンというスタッフが迎えにくる。やっぱり、奴らが呼んだタクシーだったらしい。分けわからん。
とりあえず、事務所へむかう。初めての昼間のインド。ものすごい人のかず。信じられないほどの排気ガス。スラム。バラック・・・話に聞いていた光景。牛、犬。なんていうか、マッシブ。あついし。
attattakaliの事務所はなんかすてきなところ。ボールみたい。一回にスタジオ。二回に事務所。ジャイたちがガレージを改造したらしい。竹とかココナツとか植わっていて、なんかかっこいいじゃん、と思っても、一歩外に出ると、地べたにうごめく異形の人がいたり・・・・。とにかく分けわからん。
三時からワークショップリーダー会議。顔合わせ、と、方向性の確認程度。変なメンツ。まあ、しょにちだから、そのうちだんだんわかってくるだろう・・・。ファーストインプレッションは、ロンドンの時と同じような感じか・・・。俺が一番年下か?
で、ホントは今日ベニューにいく予定だったけど、明日みんなと一緒にはいることにしてもらって、別の近くのホテルをとってもらった。こっちの方がいい。こっちの方が小さいけれど、きれい。で、ねる。
夜八時半に迎えにきてもらって、みんなで飯食いに行く。オートリキシャぶっ飛ばして、まるでインドテーマパークにいるみたい。激辛カレー。ていうか、それしかない。ホントにそれしかない。ちょっと、腹が張っている。大丈夫かな・・・・
しかし、三十五人くらい参加者がいるらしい。ほとんどがなぜかヨーロッパからの参加者。どういう仕組みになってるのか、さっぱりわからん。
2004_01_11
十二時に迎えにくるというので、朝から迷子にならない程度に近所をぶらつく。今まで行ったどことも違う。牛がいっぱい。犬がいっぱい。排気ガスがすごい。建物のほとんど半分が崩れている・・・。売ってるものはどれもこれもほこりだらけ。みたことのない果物。みたことのない食い物に人がたかってる。最下層の人が車にひかれそうなところに寝そべってる。まだちょっとびびってるな・・・・カメラを取り出して写す勇気がない・・・・。まだまだチャンスはある。後一ヶ月半・・・・。
ワークショップの会場となるECCキャンパス、というところは、バンガロールの中心から四五十分車で行ったところ。それまでの道のりがすごかった・・・・。中心地はまだ開かれていた・・・・。途中、突如として巨大なソフトウェア会社の建物があらわれたり、その横に難民キャンプみたいな集落があったり、これまた巨大なサイババ病院があったり・・・・。最後の村(これがまたものすごい。あるものあるもの、何に使うのか、何のためにあるのか、何でそこに人がたかっているのか、そんなところで何をしているのか、全く想像することができない。)を抜けると、たどり着いたのはキリスト教徒のための巨大な敷地の中にある施設。サナトリウムのようなところ。敷地内のいたるところに、聖書からの引用やら、なんだか詩のようなものがかかれたボードがたっている。「この先湖」と書かれた立て看の通りに進むと、フェンスの向こうに見えたのは、でっかい泥水の水たまり。そこで女の人たちが洗濯をしているのが見える。なんだろう、高さ二メートルくらいのでっかい土の塔のようなものがいくつもたっている。蟻塚、ってやつだろうか・・・・。背筋が凍る。昨日、ジャイが「インドは人類最後のフロンティアなんだ」といっていた。フロンティア、ってなんのだろう。資本主義にとっての最後のフロンティア?西洋文化の?
三日目、まだ思考停止状態。
広い敷地内に点在する平屋建ての宿泊施設の中の一部屋に連れて行かれる。お湯は一応でる。トイレには紙はない。それぞれの部屋にシャワーがついてるだけ、まだましだろう。やっと落ち着いて荷物を広げられる。
食堂へ行って飯(カレー)を食って、ちょっと休んで、プログラムがスタート。いつの間にやら、三十人の参加者が集まっている。三分の二が西洋人。見渡すと、モンゴロイド系は、俺ともう一人、ロンドン生まれの香港系中国人?のアニーというダンサーだけ。何でだ・・・・わけわからねえんだよ!と叫びたくなる。まず、我々リーダーたちの自己紹介が終わってから、ダンサーのクリスによる柔軟体操っていうかワークショップで和むという段取り。英語が苦手だと断ってから、適当におもしろおかしく思いつきをしゃべっていたら、やたら受けている。話の内容がおもしろいのか、英語がおかしいのか(笑)その後三十人が一言ずつ、自己紹介。あー、英語について行けない。人の名前が覚えられない。日本語の名前でさえ苦手なのに、カタカナで表現できないような名前ばっかりじゃないか・・・・・。
無事初日のプログラムが終わると、めし。少し遅れていったら、席が空いていないのでサポートしてくれているインド人チームのテーブルになってしまって、話が盛り上がらない・・・・。寂しいなあ・・・・初日から仲間はずれかな・・・・仕方ないよなあ、俺と話すと疲れるんだろうなあ、英語がうまくないから・・・。こんな時は酒でも飲んで明るい気分になりたいなあ、と思っても、ここにはお酒がない。なぜならクリスチャンの施設だから。施設の外に一歩出れば、例のものすごい村。そこに酒なんて売ってるわけがない。早くいっておいてくれれば免税でウイスキーの一本くらいかっておいたのに・・・・。たぶん次の日曜の休みの日まで酒はないだろう。誰か気の利いたやつがかってきてくれないだろうか・・・・。
ちなみに、今この時点で、インターネットにはいちども接続できていない。この施設の中にはどこかにつなげられるところがあるらしい。あるらしいけど、たぶんこの調子で行けば、三週間の間、何度接続できるのかわからない。それは困る。あ、それは非常に困る。やばいじゃん・・・・・。やはり、携帯電話を持ってくるべきだった・・・・・。ちょっと東京に電話をかけて、ついたよ、元気だよ、といいたくても、まず、どこに電話があるんだ・・・・・・この施設は。何はなくとも、携帯電話だった・・・・・。大失敗。でも後悔しても仕方ない。何とか手段を見つけよう。
しかし、こっちにきてからずっと感じ続けているのは、想像していた最悪のパターンだ、ということだ。まさか、と思っていたために準備をしていなかったことが多すぎる。なるようになる、か・・・・
ここが、こんな場所に、こんな状態である施設だったなんて・・・・あービールのみたい。
2004_01_12
いまだインターネットに接続できず。スタッフに聞いても、参加者の誰に聞いてもあんまり興味がないらしい・・・・。そのうち街にでも行ったときにホットメールがみれればいい、みたいなかんじ。一人、マウロというイタリアからのミュージシャンの参加者も同じ悩みを抱えているのを発見。やつもできれば自分のラップトップをつなげたいらしい・・・・。でも誰に聞いてもわからないといわれるという・・・・。これはますます一大事。明日は何とか接続にこぎ着けるぞ、と思ってるが、ワークショップは思ったよりハードで、いっぱいいっぱい。
まず、みんな英語が早すぎる・・・・。たぶん半分くらいしか理解できていない。一応会議には参加しているんだけど、発言の機会がない。ふがいない、非常にふがいない。だいたい想像するに、ものすごい、あり得ないくらいの基本のレベルの問題でみんなああだこうだ行っているのはわかるんだけれど、「いや、だからそれはさあ・・・」という意見を言う暇もなく分けわかんない話にどんどん流れていくので、タイミングもつかめない。不甲斐ないなあ・・・。悔しい。非常に悔しい。しかし、英語がだんだんうまくなるのかと思ったら、どんどん話せなくなってきている。発音もろれつが回らなくなってきているし、どういうことだろう。早い会話のテンポについていこうとしてるからだろうか・・・・。いつもだったら、すんなりでる受け答えさえ、あー、あー、なんていって身振り手振りが先にでて言葉にならない。まずいなあ。英語のレベルが一番低いのが俺なので、気を遣ってくれないんだよなあ。ついて行くしかない。
で、今日は朝からテックチームの本部をどこにするかとかそんなことが進んでいて、「いや、全部ホールにセットしちゃえばいいじゃん・・・こういうスケジュールにしてこうしてああして」とかいう暇もなく、これはああだから、こうでないとだめだ、ああそうだ、そうだ、みたいな感じにして物事が進んでいくので、もうなせばなる、だと思って朝から別室にセットアップ。もう、あとは自分の技術だけが頼りだな、と思ったけれど、セットアップしているといろいろ不具合が出てきて、ダウン。
どうすればいいんだろう。何をすればいいんだろう。何ができるんだろう。もう、何がなんだかわからない。
まず、俺のいっていることがわからないらしい。言葉じゃなくて、コンセプトの根本的なところが。たぶん俺の切り出し方も悪いんだろうが、全く興味がないようだ。おちる・・・。こういうワークショップにありがちなように、とにかく、参加者はいい雰囲気の音に合わせて、ありがちな動きをして、それをみんなに見てほしくてたまらない・・・みたいな・・・。一番盛り上がるのは、楽しいストレッチ体操、楽しいコンタクトインプロビゼーション。私が世界の中心で、ほかはみんな私の観客だ、とでもいわんばかりにやってる、やってる。目がいってる。まあ、そんなやつばっかりじゃないとは思うけど。ますます「表現するなんて卑しいことなんですよ」といった郡司さんの言葉がおもいおこされる。
で、とにかく、俺が何やってるか、何ができるかもプレゼンできる機会もまだないし、わかってないだろうから、「なんだかあまりしゃべらない日本人だなあ、話すと疲れそうだなあ」くらいにしか思ってないだろう。「ラストサムライみたか?」なんて話をよくされるので、寡黙なボディーガードの侍みたいに思ってるのかもしれない(笑)
別室でマックいじってどうしようかなあ・・・なんて考えてたら、呼ばれて、音を出せという。もうやけくそでものすごいのをやってやった。いいと思ったけどな、雰囲気あったし。マウロは「これぞ日本人の音だ」なんていって喜んでくれたけど。ほかはノーコメント。「ちー」とか「がー」とかまねしながら話してるのが聞こえたけど、悪口なんだろうな(笑)
ビールを飲んだ。全部終わったあとのリーダーミーティングで。少し満足。でも足りない。愛他は売店のおっさんにビールもしいれてよ、といったら、「うん、明日買ってくるよ、でも内緒な、首になるから」といっていたので、これからは大丈夫だろう。
しかし、あと二週間以上あるんだぞ、ワークショップ。どうする・・・。
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