0306
もうすっかり体調は回復した。あと三週間。もうあんな苦しいのはごめんだ・・・。気をつけよう。
あいかわらず、インド料理を見るとうんざりする。
しかし、明日からまた選択肢のない食生活が始まる。
九時半頃、ヴァルカラからトリバンドラムへ帰ってきた。
五日のあさ、休みなのでゆっくり十一時くらいまで寝て、朝飯も食わず起きてすぐに着替えのTシャツとパンツとタオルをもって、駅の前のバスステーションへ。ヴァルカラへのバスを待っていると、身なりのいい(といっても、ちょっときれいなシャツにきれいなズボンの)おっさんが話しかけてきて、自分もヴァルカラに行くんだという。話を聞いているうちに、名刺を出してきて、ヴァルカラに新しくできたリゾートホテルで働いているという。来た(笑)このおっさんはどう見ても客引きだ。バスを待っていてもなかなか時刻どうりに来ないので、汽車で行くことを勧められる。ここから1時間程度だという。クリスと一緒に、ああそうですか、と素直に汽車に乗り、四十分ほどでヴァルカラ到着。俺はそこでおっさんとバイバイする方がいいと思ったんだけど、人のいいクリスはおっさんに勧められるまま、そのリゾートホテルを一度みてみてもいい、なんていい始め、まあ、しつこい場合は俺がぶち切れて始末する心構えをしてクリスに着いていく。おっさんのいうには、シーディットのスタッフに勧められたガバメントゲストハウスっていうのは政府のVIPがとまる五つ星クラスのところで、部屋も取れるかわかんないし、異常に高いからよせ、と・・・。ばかな話だ、このおっさんいい加減なこといいやがって、と俺は思うものクリスはどうもおっさんをしんじているようだ。忠告しても聞かない。ホテルに着くと、ココナツまで出してきて、執拗なプレゼン。支配人らしき人まで出てきて、クリスはそこに決めてもいいかな、なんて雰囲気になってきた。とにかくガバメントゲストハウスに行ってみようよ、というはなしをうまく切り出し、待たせていたリキシャで退散。
どこが五つ星だ(笑)ツインがたった二百五十ルピー。おっさんのホテルの6分の1だ。清潔で雰囲気も悪くない。ビーチにも近く、最高の立地条件。
インド人のセールスは、しつこいだけでなくて、嘘をつくから、いやだ。
早速タオル片手にビーチへ向かう。
ヴァルカラは、俺の持ってるガイドブックにも、クリスの持ってるガイドブックにも載っていない。断崖絶壁の下に広がる遠浅の、白い砂の美しいビーチだった。がけの上には、観光客相手のレストランや土産物屋が集まる一種異様な雰囲気の村が展開している。どことなく、嘘くさい。ディカプリオの映画にビーチというのがあったが、それを思い出す。元ヒッピーの夫婦、親子、ビーチからビーチを渡り歩く背中にディジェリドゥーを背負ったネオヒッピー、インド人のツアーガイドにべったりの金持ちのおやじやおばさん。七十年代にここに流れ着いて居座ってしまったどう見ても気の狂っているとしか思えない元ヒッピーだったであろうおやじが薄暗い店の奥から、俺の目を見てリキシャサブマリンヘリコプタエアプレイン・・・・といいながらあきらめたような笑みを漏らす・・・・。リアルイタリアン、ファンキー、アート、等とかかれたレストランでは、ドラムンベースやトランス、あるいはノラジョーンズやボブマーリー・・・。
ここにいると、病気になる・・・・。と、からだがいっている。もちろん、日本人などどこにもいない。たまに金持ちのインド人を見かけるが、ほとんどが、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スカンジナビアの方から来た白人だ。中でもなぜかドイツ人が多い、気がする。ここにいると、俺、日本人、は病気になる・・・・。とおもう。なぜか・・・・。
ヴァルカラでは一日中ビーチとがけの上のレストランの往復。隠すように新聞紙に包まれていたりお茶のポットに入れ替えてあったりテーブルの上に置かないで下に隠して出されるビールを飲み、ビーチで寝転がって、たまに水遊びをして。
ゲストハウスに帰り即寝ようとするが、深夜、何度も目を覚ます。ビーチの方から、爆音で妙なインド音楽が鳴り続ける、朝まで。インドには、騒音、という概念がないようだ。人の迷惑にならないように・・・ということは、教育されないのだろうか。
で、六日日曜も朝からビーチ。ゲストハウスをチェックアウトするときに、ドイツ人のバックパッカー二人に声をかけられ、クリスがドイツ語でなんだか早口で楽しそうにおしゃべりする。うらやましい。俺も、日本人と、話したい。日本人だったらわかるよね、みたいな話がしたい(笑)安室奈美恵の話でも、ドランクドラゴンの話でも何でもいい。
とおもっていたら、日本人らしき一人旅の女性を発見。うん、どうみてもあれは日本人の態度と表情だ。服装は、インド旅行仕様に少しだけインドテイストがはいっているが、日本人の着こなしのセンス。水着にも着替えず、ただ、ビーチをぶらぶらして、ふむふむ、なかなかいい所じゃない・・・みたいな感じ。クリスが、ここにいる観光客のうちの0.01パーセントの日本人にせっかくであったんだぞこえかけろよ、というがやめておいた。彼女には俺は日本人に見えていたのだろうか。だろうな。俺は、典型的な日本人の服装と態度をしているんだから。典型的・・・・、というのとはちょっと違うな。なんかあるんだよ、コードが。共同体の持つ、コードがにじみ出るんだね。
ビールを飲みながらサンセットを見届けたあと、駅へ向かい、鈍行のトリバンドラム行きへ。行きと違い、1時間半ほどかかって到着。
海水でべたべたになった服を洗濯して、クリスとテレビでアメリカンパイ2をみる。
クリスはどうも腹が痛くなったらしい。俺と同じあたり。なんか変なもの食ったかなあ・・・・と、ぶつぶつ言ってトイレへ。あらら、大丈夫かな・・・。
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