Tue, 03 May 2005

バイバイ、お岩さん、こんにちは、お岩ちゃん
またもやひどい一日。

かれらは知らないところで何か俺に関することを決定したらしい。世界基準に照らし合わせた結果、俺を正式に廃人だと認定したんだろう。つまらんはなしだ。
それとも俺は数も数えられなくなってしまったんだろうか?俺の話すことは、意味が通じないほどに文法が壊れているのか?

十時半に起き、十一時十分くらいに事務所の引っ越し先である四谷左門町へ到着。作業。飯、たばこ、作業、帰宅。鶏肉のサテ、しじみ汁、水菜とアボガドとトマトのサラダ。

四谷は俺にとって特別なところだ。小学生時代を四谷で育った・・・・。・・・・つまらないはなしだ。誰だって特別な場所はあるし、他人にそこが自分にとっていかに特別かということを一生懸命に伝えようとしても、みじんも伝わらないのだ。だからもう四谷について話すのはやめる。
とにもかくにも、もうそこは俺のいた四谷ではないし、俺ももう子供ではない。そこにはもう昔一緒に御輿を担いだ子供たちもいないし、ラジオ体操でおやつをくれたじじばばもいないし、白黒じじいもいないし、ネコばんばもいないし、チャリティー坊やもいないし、鼻くそ屋もないし、俺もいない。しかし、四谷は四谷だ。誰かが住み、誰かが離れ、誰かが新しく住み着き・・・・。
四谷にはもう俺の居場所はないのだ。それでも、四谷とは関係のないところで、生活は続くし、また新しいことを始め、慣れなければいけない。
過去を振り返れば、それでよかったような気がするし、よくなかったような気もする。いずれにしろ、これが今だ。それ以外にはなかったのだ。
明日は、真剣に、片づけなければいけない仕事をかたづけてしまおう。そして、かみさんと一緒に料理を作ろう。食べて笑おう。

今日、子供のころ、あれほどこわかったお岩さんについての本当の話を知った。お岩さんは、あんなに不幸だったのではなかった。とても働き者で、美しく、イエモンさんとも仲むつまじく暮らしたそうだ。お岩さんが有名になったのは、どうも器量よしの働き者で信心深いキャラクターが人気を呼んでのことらしい。その二百年後にそのお岩人気を利用して鶴屋南北が怪談をでっち上げて、いつのまにやら恨めしやのお岩さんの方が有名になってしまったということだ。しらんかった。そうか、それはよかった。なんだか、ものすごーくうれしくなった。肩の荷が下りた。よかったね、お岩さん。しあわせだったんだね。なんか、衝撃的だ。一つの時代が終わったような衝撃だ。バイバイ、四谷、お岩さん。こんにちは、お岩ちゃん。でももう、四谷には俺のいる場所はなかったよ。


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