ミュンヘン四日目。十一月四日土曜日。
昨日はムハトハーレでの初日公演。終了後は昨日から合流したトーマスとインド料理屋へ行ってカレー食ったので、直接観客の反応をきく機会はなかったんだが、どうもやはり音のでかさとダンスのバランスに関しての意見が多かったようだ。今日は少しボリュームを下げなければ・・・。
今までの公演では、幸か不幸か、あそこまでクリアでパワーのあるシステムがなかったために、結構オーソドックスな質感のダンスとのバランスがとれていたのだろう。しかし当初のイメージに忠実な音と映像をあわせてみると、やはり考え方の違いが明白になってきてしまう。
プロジェクションに関してもそうで、パフォーマーとプロジェクションとLEDを含めたトータルなビジュアルデザインを目指していたプロトタイプからはずいぶんかけ離れた、ダンス主体の作品になってしまっている。逆から見れば、プロジェクションと音楽主体の作品になってしまっているということでもあるのだけれど。
ダンス主体、というか、ジャイは我々の目の届かないところで作った六十分バージョンの振付のプロセスにおいてダンス以外の要素を情報としてとらえていなかったのだ。
映像との絡みは無理もないとしても、音楽さえ聴いていなかったかのようだ。
ダンサーたちも不思議なことにどんなに音楽や映像のグルーブ感が上がっても、全く反応することなく淡々と、決められた振りをノングルーブにつなげている。
ジャイにはサウンドと映像を全面的に押し出した作品は今のトレンドとしては各国のフェスティバルに受けがいい、という戦略的ビジョンはあるのだけれど、実際に彼の感性にそれらのメディアが振付と同等の情報としてとらえることが出来るか、というと、そうではないのだろう。
作り手のジャイでさえそうなのであれば、観客の中には目の前で起こる出来事の中で人物の動きのみを情報としてとらえ、それ以外のサウンドやプロジェクションなどの要素をただのノイズとしかとらえることが出来ない人もいるのではないか、とさえ思う。
コンサートへ行けば音楽しか聴くことが出来ない、ダンスを見ればダンスしか鑑賞することが出来ない、という頭があるのかもしれない。
ただ、あの音を聴くためには多少普段からそれに慣れ親しんだノイズ耳が必要かも知れない。だから、ただうるさいだけという観客がでるのは当たり前なんだけれど。
しかし、気にしすぎだ。堂々としていればいいのに。
年寄りのプレス関係者になにを言われようとかまわない、これでいいのだ・・・という態度はやはりジャイには難しいのだろうか。
ところで「プロジェクションと音楽は今まで以上にブリリアントだ、しかし、今回はブリリアントすぎてダンスとのバランスが崩れてしまった。だからプロジェクションと音を減らしてくれ・・・。」というのはどうもおかしな話だけれど・・・・。
そもそもシーンごとのねらいというか、どういう結果を得たいのかということを、みんな忘れすぎている。ダンサーの動きに反応するシステムを作っても、まるでダンサーたちはそこに絡む意思がないようだ。きちんと徹底すべきだと何度もいっているんだが、ジャイにいわれたことをこなすのに精一杯なのだ。
ジャイとラギニによれば、多くの人からサウンドとプロジェクションが強すぎてダンスに集中できないという意見があったというが、トーマスを始め何人かは振付が弱すぎて音とプロジェクションの強度について行っていない、という。
実際に音もプロジェクションもそれほど主張の強いものではないし、それだけで完結しているわけでもなく、隙間はいっぱいあるのに。隙間はいっぱい作ってあるし、そういうプロセスを得て作られているはずなのだ。少しずつ考えの違いがずれを生んでいったのかも知れない。
まあ、どっちにしろ、現実的に作品としてのバランスをとらなければ共倒れなので、何か戦略を練らなければいけないだろう。
今からの数時間で。
ちなみに、昨日の音と映像は今までで一番良かったと思う。
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とここまでがミュンヘンの公演二日目の昼間に書いた物。
二日目の結果はどうだったかというと、まあまあ成功。昨日よりよかった、ということですが。
あまり変えなかったんだけれど。ちょっと変えたといえば、その反応。
松本さんのノイズは昨日よりでかかったし(笑)
本番前に、クリスの作品を見に行く。森というタイトルの短い作品で、スクエアなスペースに蛍光灯がぶら下がっている空間の中、クリスティンが踊る。簡単なインタラクションでダンサーの一と動きによってサラウンドのサウンドがレイヤーを作り蛍光灯の明かりがダンサーを追いかける仕組み。シンプルで悪くないが、いいダンサーでないと見ていられないかも知れない。サウンドは良かった。
本番後はいつもgastでビールを三杯。ピポンたちに別れを言ってクリスたちと一時頃ホテルへかえる。
翌朝七時半に迎えが来て空港へ。ポーランドへ移動。ルフトハンザで一時間半くらい?でワルシャワへ。
初めてのワルシャワはものすごい寒々しいイメージ通り、ものすごい寒々しかった。なにやらスペースがいっぱいある。ぶっ壊れた建物も所々に。誰も買わないし、誰も直さないのだろう。
トーマスが別便で遅れてやってくるので、それまで昼飯を食って待つ。町中のローカルフードのレストラン(結構うまい)で腹一杯食ったあと、車で少しワルシャワ市内観光。なにもないんだけど。
トーマスをピックアップしたあとは車で三時間半ほどかけてルブリンへ。カンパニールというホリデーインのようなホテル。小さな部屋だけれど結構快適。トーマスと相部屋です。
街へ出て夕飯を食いに行くけれど、町には人の影が見あたらない。寒くて家にこもっているんだろう。気温はマイナス2~3℃。
昼に食い過ぎて、ものすごーく腹が減っていなかったけれど、とりあえずスープと野菜を頼んだら、ものすごいボリュームだった。具合が悪くなって、ルブリン初日は即就寝。
十一月六日月曜日。朝飯を食ってからジャイと話し合い。いろいろ俺なりのこちらからの要望というか不満を伝えておいた。扱いの件、クレジットの件、これからのこと、金のことなど。何度も話していることだけれど、とにかく、日本人同士のようにうまくいかないのが現実。
そのあとフェスティバルの事務所へ行ってスタッフとちょっと打ち合わせ。指定された飯屋でチキンを食い帰りにスーパーでズブロッカを買って部屋でちびちび飲みながらこれを書いています。今、まだ三時十五分。そろそろ外も暗くなってきて、っていうか、ものすごくどんよりしている。まるで世界の終わりにいるみたいだ。
今日、明日、明後日と、劇場にはいることが出来ない。こっちの失業者が一日中ウォッカを飲みたくなるのもよくわかる。
正直、あまりうまく表現できないけれど、結構精神的にきついです。松本さんと浜中さんも、多分ものすごいきついはずですが、彼らはちゃんとした人達なので・・・・かないません。
トーマスはもちろんいつでもハッピー。「モニカを探しに行かなくちゃいけないなあ・・・」とずっと言ってます。


アルコールを摂取しない松本さんはもっときついはずです。
おれはもう半分呑んじゃいました。
ビデオ収録はしてるの?
みたいぞ。というか聞きたいぞ。
私がSくんから聞いた話は、「酔っ払ったお二人から、ゲラゲラと国際電話がかかって来た。」だけだったので、ビール飲んでるなぁ?としか思ってなかったんだけど・・・。大変そうですね。
ビデオは撮ってるよ。ロヒニちゃんのPALのDVカメラを借りてキャプチャーしなくちゃ。
いやいや、確かに酔っぱらうこともありますが、結構大変な戦いですよ。ラーメン激戦区並みに激戦です。
浜中さんは昨晩ズブロッカを一人で一本あけました。鬼です。