うちにほぼ一月の間居候していたパブロがアムステルダムへと帰っていった。金曜の朝。なんだかすごく長い小説を読み終わった後のようにさびしい。一つの完全な世界が突然なくなる。
きっといつかブエノスアイレスへ行くだろう。で、タンゴの店なんかに行っていっしょに日本での一ヶ月の思い出話なんかをするだろう。
他人の書いた小説と違って、こういうのの続きは自分で書くことができる。そうおもえば、寂しさが希望に変わる。
水曜夜、オケちゃんに誘われたスーデラのパーティーへパブロを連れて行く。なんのパーティーかわからずじまいだったが、いいパーティーだった。そこで久しぶりに会ったトーストに金曜夜のイベントに誘われ、パブロがいなくなった寂しさも紛らわせたかったし、うちの奥さんと出かける。東京デザイナーズウィークの一環だった。いってみて知る。
なにやらトーストが興奮して絶対すごいから見に来てくれと小一時間酔っぱらって繰り返していた見せ物とは、小野雅子さんのオリッシーだった。
すばらしかった。目が離せなかった。動きに無駄がなく、振りの全てが洗練されている。あらゆる仕草がなんの努力も訓練もなく自然に彼女の身についていたかのようにみえる。ただ踊っているだけなのに、観客に語りかけているように見える。語りかけるというか、男性を誘っているように見える。それでも絶対に触れてはいけない高潔さが漂う。
さむい夜、国連大学の中庭の仮設会場で、不十分な照明の中で、すごいものを観てしまった。たくさんインドに行って、インド舞踊を観てきた。バラタナティヤムに至ってはデジタルアーカイブを作る仕事までした。でも、こんなにすてきなものを観たのは初めてである。しかも、ダンサーはインド人ではなく日本人である。それとも、日本人だからかもしれない。
ファイナルホームの津村さんのジャケットを着て踊るという企画だった。現代の服の下にちらちらと見える派手な衣装もあの環境に映えたのかもしれない。でも、本来のオリッシー衣装でも観たかった。
なにか、彼女のダンスと仕事がしたい。あ、やることまだあるじゃん(笑)
なんでダンスかなあ・・・と、ちょっとさめていた気持ちを少し前向きにさせてもらった。
及川ギガ氏にもあった。彼も小野さんのダンスにはいたく感動していたようである。彼も数々のインド舞踊を観てきているはずだ。俺よりももっとたくさんのダンス作品を鑑賞、分析、製作してきている。其の彼も「いい」というのだから間違いない。
彼女はすばらしい。たぶん、いいオヤジ二人が、ダンサーに恋をした(笑)
昨日土曜は、毎年恒例ノリユキさんと下條先生のルネッサンスジェネレーション。少し遅刻してしまったけれど、たっぷり六時間。非常にスリリング。スタッフじゃなくて観客になってきいた方がゆっくり考えながらきけるからいい。当たり前か(笑)
そのあと、うちの奥さんと近くの江山楼で黒酢酢豚を食って、赤坂見附まで散歩した後帰宅。
帰宅後、テレビで赤塚不二夫の伝記をやってたのでみる。死後、少しずつ少しずつ毒が抜かれていく。エライヒトがエライヒトになっていく。


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