妙な小説

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前回書いてから十日。厄年は十二分の一何事もなく過ぎた。

何事もない。何事か起こるべき、というか自ら起こしておわらせる必要がある物が起こっていない。故におわる気配は全くない。

昨夜、東京に雪が降った。そんなの誰だって知っているだろうが、これは俺に向けてのメモなので気にしないで書くが、昨日雪が降った、ようだ。外を見ると雪がちょっと残っている。

アウステルリッツという小説を読んだ。随分昔、インドにいるときに何かのきっかけで話題に上ったことがあり、頭の片隅にこのタイトルが残っていたから、図書館で借りてみたのである。

不思議な小説だった。アウステルリッツという人物が語る記憶を語り手が伝聞で語る。記憶は様々な建築物や場所と結びついていて、そこを訪れるアウステルリッツさんは幼少の頃に記憶の底に封印した自分の出自を思い出していく。妙な(それ自体はとってもアノニマスな感じの)モノクロ写真や図面が差し込まれ、それだけでは何も意味しないようなそれらの写真が記憶と結びついて、なにやら意味深げに重々しく見えてくる。

読んでいると、アウステルリッツ氏の記憶から想起された自分の遠い記憶も、ささくれ立った毛糸の枝分かれのように脱線していく。変な読書だった。あれは珍しい感覚なので、他にもあんな印象を残す手法を使った作品はないだろうか。もう一回味わいたい。むかし、WAXというコンピュータを使った自主製作映画があったが、あんな感じか。いや、ちょっとクリスマルケルのラジュテっていう静止画をスライドショーで見せていく映画があったけど、それともにているような気がするし。

読後すぐ、ちょっと興奮して、自分で作ってもいいかなともおもったが、返事を書かなければ何も起こらないメールの山を思い出してやめた。まあそのうち、何かやるときのヒントになるだろう。ヒントというか元ネタっていうか、パクるというか。
だれか、またあれが体験したいので、しかも日本を舞台にしたものがいいのですが、つくってもらえませんかね。それとも、ほかにああいうのある?さがしてみるか。

2008年2月にも雪が降った

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このページは、matsuoが2010年2月 2日 10:18に書いたブログ記事です。

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